カナダのビリギャル 第二話

f:id:yuichiworld:20180831114057p:plain

スポンサーリンク

 

 

どうもユウイチ(@yuichiho)です!

 

みなさん、ビリギャルはご存知でしょうか?

学年ビリの金髪女子高生が慶應義塾大学に合格するまでの奇跡を描いた大ヒット作です。

 

私がカナダで日本語教師をしていた時、ひとりのビリギャルと出会いました。

 

そんな私と彼女の物語を数回に分けて綴ります。

 

第一話はこちら▼

カナダのビリギャル 第一話

第二話 ビリギャル改革

「遅刻してごめんなさい」

 

初めて会った日も含めて、3回ほどマンツーマンで教えたが、全てのクラスに時間通り来たことがないJ。

 

海外の人が遅刻することを私は一切気にしないが、Jの場合は何か全てにおいてやる気をなくしているような気がした。

 

教科書に沿って、復習をしてもメモを取る気配はない。

Timhortonsのティムビッツをほうばりながら集中力は散漫だった。

f:id:yuichiworld:20180831125211j:plain

 

これは日本語どうこうの問題じゃない。

 

話を聞いてみると、他の授業も単位が取れるかどうかギリギリのラインにいた。

 

根は深いな。

 

 

「ごめんなさい、バカな生徒で。」

 

授業を通して、Jがよく使う言葉。

 

授業の最初は機嫌良く振る舞うのだが、

間違える度にテンションが下がっていく彼女を見た時に、まずは、自分に自信がない状態を変えることが急務だと感じていた。

 

そこで私は二つのことに意識して取り組んだ。

 

 

一つ目は、得意分野で攻めること。

 

日本語を教えていく中で、気づいたことがあった。

日本語のボキャブラリーも文法もめちゃくちゃなのだが、なぜか「日本食」に関する単語だけは異様に詳しかった。

 

なぜ詳しいのか聞いてみると、

 

「日本食が大好き。趣味は日本料理で、自分で味噌汁や肉じゃがを作ってます。」

 

なるほど。

そうか、日本食が好きなのか。

 

日本語学習本は、英語の教科書と同じように、まずは会話文が紹介されていて、その後、単語や文法の説明が入る構成になっている。

ページによっては全然おもしろくない話がある。

これを日本料理の内容に変えたらどうなるのか。

 

私は、教科書の内容を日本料理と絡めて教えることにした。

例えば、「〜して欲しい」という表現があるとする。

教科書だと、

「日本語がわからないので辞書を貸して欲しい。」

という表現になる。

これを「私が作った豚汁を彼氏に食べて欲しい!」と変換をする。

 

そうすると、

「豚汁好きです!」

とその表現を覚え始める。

 

相当豚汁好きなのか、豚汁の作り方について勝手に話し始めるJ。

日本語がわからなくなったら英語を話す癖があるので、

それを日本語オンリーにさせながらどんどん話させる。

話していく中で間違いがごまんと見つかるが、本当に基礎の基礎の部分だけを修正するようにした。

修正し出したらキリがなくて、全部直そうとすると、時間がいくらあっても足りないし、いかんせん彼女のモチベーションが下がってしまうので、指摘は最低限にする。

そして、できていることをちゃんと誉める。

 

「たべてほしい、のんでほしい」とメモを取り出すJ。

 

日本食に加えて、彼女は旅行も好きだった。

私が世界一周バックパッカーだったこともあり、いろんな国のことを話しながら教科書の表現を教えていった。

 

「好き」は最強。

 

 

 

二つ目は、小さな成功体験を積み上げること。

 

彼女の自信の無さは本当に異常なまでだった。

 

何が彼女をそうさせたのか深く分析する時間はなかったが、自信をつけさせるために、まずは、どれだけ小さなことでも誉めた。

 

できなかったことに焦点を当てて、できたことに焦点を当てない。

弱点を補おうとする考え方。

できない部分が一部分だったとしてもそれが大問題であるかのように捉えてしまう。

その傾向がJは人一倍強かった。

 

そこを徹底的に「できたこと」にフォーカスした。

 

日本食や旅行に絡めて教えた内容を例文で作らせる。

そして、できたことにフォーカスして、小さいけれど「できた!」という経験をどんどん積ませた。

すぐに「また間違えた〜ダメだ〜」とテンションが下がってしまうので、盛り上げるように努めた。

f:id:yuichiworld:20180831125137j:plain

 

Jに変化が現れる。

自分が作った例文をノートに取り、「じゃあこういう時はどう言うんですか?」と姿勢が前向きになった。

 

ただ、やはり大学に行くと、周りのレベルが高くて、「やっぱり私ダメだ」と落ちて、私のクラスに来る。

それを私のクラスでマイナスからプラスに持って行く。

そんなことを繰り返す。

 

本当に少しずつだが、変わり始めたことを嬉しく思う一方で、この短期間で単位を取らせることができるのかは全く確信を持てないでいた。

 

単位を落としたらおそらく彼女は日本語をもう勉強しなくなるだろう。

 

次のタームが始まる頃、私はもうカナダにはいない。

 

短期間で積み上げた自信は、崩れるのも速い。

 

駆け出しの日本語教師が結果を出すにはあまりにも時間が無かった。

 

つづく。

 

カナダのビリギャル 最終話

 

▼Follow Me▼

ユウイチ🌎 (@yuichiho) | Twitter

 スポンサーリンク